こんにちは!「カスタム企画」の伊東です。
先日、ある経営者の方からこんなご相談をいただきました。
「やっぱり、給料を上げないと人は来ないんでしょうか…?」
求人を出しても反応がない。 競合の大手は、うちより高い給与と充実した福利厚生を提示している。 無理をして給与を上げても、すぐに辞めてしまう…。
今、多くのクリニックや中小企業が、この「条件競争(スペック競争)」に巻き込まれ、疲弊しています。
結論から申し上げますと、中小企業が「条件」だけで大手に勝とうとしてはいけません。 それは、資金力のあるところが勝つだけのゲームだからです。
しかし、諦める必要はありません。 条件が悪くても、知名度がなくても、「欲しい人材」をしっかりと採用できている中小企業は存在します。
その違いは何か? それは、「自社の価値を『言語化』できているかどうか」に尽きます。
求職者は「スペック」ではなく「未来」を買っている
マーケティングの世界には、有名な格言があります。
「ドリルを買いに来た人が欲しいのは、ドリルではなく『穴』である」
これは採用も全く同じです。 求職者は「高い給料(ドリル)」そのものが欲しいわけではありません。そのお金で実現できる「生活」や「安心」、あるいはその職場で働くことで得られる「成長」や「やりがい」という『自分の未来(穴)』を探しています。
しかし、多くの求人票は、
- 月給〇〇万円
- 週休2日
- 社会保険完備
といった「ドリル(条件)」のスペックばかりを羅列しています。これでは、より性能の良いドリル(好条件の大手)に負けるのは当たり前です。
「弱み」を「魅力」に変える変換術
条件で勝てないなら、「意味(コンセプト)」で勝負しましょう。伝える言葉によって、一見「弱み」に見える部分も、ターゲットによっては強烈な「魅力」に変わります。
例えば、こんな風に変換(言語化)できませんか?
ケース1:マニュアルがなく、教育体制が整っていない
- × そのまま書くと: 教育制度なし。自分で考えて動ける人募集。
- 〇 言語化すると: 「決まったレールの上を走るより、自分で道を作りたい人へ。あなたのアイデアがそのまま会社のルールになります」
→ 指示待ち人間は来なくなりますが、幹部候補のような自走できる人材には刺さります。
ケース2:残業が多く、忙しい
- × そのまま書くと: 残業あり。体力に自信がある人募集。
- 〇 言語化すると: 「3年分の成長を、1年で。圧倒的な現場経験を積んで、どこでも通用するプロになりませんか?」
→ のんびり働きたい人は来ませんが、成長意欲の高い若手には響きます。
【重要】ただし、「言葉」と「実態」はセットです
ここで一つ、大事なことをお伝えしなければなりません。 「言葉で表現を変えれば、会社の待遇が悪くても人が来る」と言いたいわけでは決してありません。
当然ながら、会社を良くしていく努力(経営努力)は絶対に必要です。
もし、社員を使い潰すような過酷な環境なのに、言葉巧みに「成長できる」と偽って採用したとしても、入社した人はすぐに現実に気づき、辞めていくでしょう。それは「採用」ではなく、ただの「騙し」になってしまいます。
私が伝えたいのは、「今はまだ大手のような待遇は出せないけれど、社員のためにこういう環境を作ろうとしている」という会社の姿勢や、現状の中にある光る部分を、正しく言葉にして届けましょう、ということです。
会社を良くする努力を続けながら、その「想い」や「独自の価値」をしっかりと求職者に伝える。 この両輪が揃って初めて、定着してくれる良い人材との出会いが生まれます。
あなたの会社に「隠れた魅力」は必ずある
大手企業は「万人受け」する無難なことしか書けません。 だからこそ、私たち中小企業は、「万人には好かれないが、たった一人の『欲しい人材』には強烈に刺さる言葉」を使うことができるのです。
もし今、「条件を良くすること」ばかり考えてしまっているなら、一度立ち止まって考えてみてください。
「ウチで働くことで、その人はどんな素敵な未来を手に入れますか?」
その答えを「言語化」して求人票に書くこと。 それが、お金をかけずに採用を成功させる一番の近道です。
「そうは言っても、ウチの魅力をどう言葉にすればいいか分からない…」 「求人票を書くのが苦手だ」
そんな時は、ぜひ私にご相談ください。 第三者の視点で、社長ご自身も気づいていない「会社の宝(強み)」を見つけ出し、求職者の心に響く言葉に変換します。
